| トップへ戻る |
Bob Dylan
ボブ・ディラン



 ボブ・ディランほど謎に包まれたミュージシャンもいないでしょう。











現メンバー

ジェイムズ・ヘットフィールド(ヴォーカル、ギター)
 結成当初からのメンバー。野太く彼ならではの歌声が特徴。
 1990年前後にはエモーショナルになる。
 現在はタトゥーとスチールウールみたいな髭がよく目立つ。
 趣味はスケートボード。トラウマは牡蠣。

ラーズ・ウルリッヒ(ドラム)
 メタリカを結成した張本人。
 1980年前後に巻き起こった英国のヘヴィ・メタルのムーブメント、いわゆるNWOBHM期のバンドの大ファンであり、
 ダイヤモンド・ヘッドのライヴを観るために渡英した経験がある。
 ろくに旅行計画をたてていなかったため、ダイヤモンド・ヘッドのブライアン・タトラーの自宅に泊めてもらっていた。
 荒ぶるドラミングはライヴで超目立つ。作曲面での貢献度は計り知れないであろう。
 日本での思い出をきかれると、「日本のファンはいい人だ。歯ブラシくれるし」と感慨深そうに語っていた。

カーク・ハメット(ギター)
 型にはまらない瑞々しいギター・プレイを聴かせてくれる。
 大のホラーファンであり、自身のコレクションを本にしたほどのフリークっぷり。
 日本の漫画についても造詣が深い。

ロバート・トゥルージロ(ベース)
 日本では鶴次郎などと呼ばれることがある。
 低くかまえてブンブン唸らせるベースが特徴。
 加入して十年以上たつからそろそろ個性を前面に出してほしい。



元メンバー

デイヴ・ムステイン
 メタリカのリード・ギター、バンドの下地に大いに貢献した人だけど、ドラッグ問題や素行不良を理由に強制解雇。
 その解雇劇たるや、あまりに酷いやり方で、デイヴはとても傷つく。
 メタリカ側も苦渋の決断だったらしく、「親の死よりも悲しい出来事」だと語っている。
 デイヴはのちにメガデスを結成し、メタリカのメンバーとも和解している。

クリフ・バートン
 ベーシスト。初期の三作に関わっている。
 幅広い音楽素養、高い演奏技術、強烈なセンスを兼ね備えており、他のメンバーから一目置かれる存在であった。
 しかし1986年にバスの事故により、二十四年の生涯に幕をおろした。
 2009年にメタリカがロックの殿堂入りを果たす際、クリフも受賞する形となり、彼の父親がスピーチを行った。

ジェイソン・ニューステッド
 ベーシスト。クリフの後任としてメタリカに加入。以前からメタリカの大ファンだったらしい。
 ジェイソンはクリフと違って、指ではなくピック弾きであった。
 当初は儀礼的な「新人いじめ」の格好の標的となり、発言権もなかったよう。
 硬質で刻むような演奏、パワフルで野太いヴォーカルが特徴的である。
 メタリカのメンバーとしてサイド・プロジェクトを望むが、ジェイムズに断られてしまい、2001年に脱退。
 その後、メタリカのロックの殿堂入りでは感動的なスピーチで観客をわかせた。
 また、「1兆億ドルのギャラならメタリカに戻ってやってもいい」とか言っている。戻りたくないってことか。

ロン・マクガヴニー
 メタリカの初代ベーシスト。ジェイムズの幼なじみ。
 その頃、ラーズとデイヴの確執でバンド内がぎくしゃくしており、ロンはデイヴに悪質ないやがらせを受けていた。
 ベースにビールを流され、ロンが感電してしまったのもその一つ。
 ロンは1982年の12月に脱退。
 メタリカ三十周年記念コンサートでは現役メンバーらと共演したらしい。





〈おすすめアルバム〉


Kill 'Em All(1983)
1. Hit the Lights 2. The Four Horsemen  3. Motorbreath 
4. Jump in the Fire 5. (Anesthesia) - Pulling Teeth 6. Whiplash 7. Phantom Lord
8. No Remorse 9. Seek & Destroy 10. Metal Militia

KILL 'Em All(皆殺し)というえらく物騒なタイトルを冠したメタリカ1stアルバム。
最初のアルバム・タイトルとして考案されたのは、『Metal Up Your Ass』。
訳して、『メタルをお前のケツにぶち込むぞ』といったところでしょうか。いいセンスだと思います。
発表された当時は賛否のわかれる評価だったようで、それもそのはず。予備知識無しに聴くとそれも頷ける。
とにかく爆速だし演奏は粗野だし、すんなり受け入れるにはそれなりの下地がないと苦しいものがある。
その音を表現するならば、「若者の暴走」「初期衝動」「欲求不満の爆発」「怒りの具現化」といったところです。
アルバム全体に格好の良いリフがふんだんに散りばめられています。
これでもかこれでもかとリフで攻める。そんなアルバムです。
現在のライヴでもよく演奏されているのはEGHあたり。



Master of Puppets(1986)
1. Battery 2. Master of Puppets 3. The Thing That Should Not Be
4. Welcome Home (Sanitarium)  5. Disposable Heroes 6. Leper Messiah
7. Orion 8. Damage, Inc.

ベーシスト、クリフ・バートンの遺作となったメタリカ三枚目のアルバム。
これを発表した約半年後、クリフ・バートンはバスの事故でこの世を去ることになります。
メタリカ事実上メジャー・デビュー作品でもあります。そして初めて全米トップ40入りにもなりました。
元々、メタリカはアンダーグラウンドのシーンから登場したバンドですから、初期から応援していたファンには戸惑いや怒りもあった模様です。
メジャー・デビューするわ、商業的にも成功するわ、曲もそれまでのメタリカとは違っているわ。
確かにそうで、前作、前前作を踏襲しつつも、それまでのメタリカの曲は何処かへ行ってしまった。
わいゆるゴリ押し感というか、爆走感も粗野さもそれほど見受けられず、「垢抜けたメタリカ」が聴けるのです。
歌詞は、麻薬の深みに嵌っていく恐怖、精神病患者の怒り、カルト宗教の教祖など、不条理な主従関係をテーマにした楽曲が多い。
憤怒や悲哀の緩急というか、曲の構築性、アルバム全体のバランスが緻密かつ絶妙に取られてもいます。
全世界に向けて「これが俺たちのメタルだ!」とドッシリと構えつつ宣言しているかのよう。

メタリカはその後、クリフの後任としてジェイソン・ニューステッドを迎えます。
迎えて作られたオリジナル・アルバムは旧来のファンをまたもや戸惑わせることになるのです。



Metallica(1991)
1. Enter Sandman 2. Sad but True 3. Holier Than Thou  4. The Unforgiven
5. Wherever I May Roam  6. Don't Tread on Me 7. Through the Never
8. Nothing Else Matters 9. Of Wolf and Man 10. The God That Failed
11. My Friend of Misery 12. The Struggle Within

プロデューサー、ボブ・ロックを起用したアルバム。
ボブ・ロックはこの以前、モトリー・クルーの『ドクター・フィールグッド』を担当していました。
『ドクター・フィールグッド』を聴いたメタリカのラーズ・ウルリッヒは「やられた!」と思ったらしい。
それがメタリカ五枚目のアルバム『メタリカ』に繋がっていくわけですが……。
シンプルに『メタリカ』と名付けられたこのアルバム。
アルバム・ジャケットもシンプル至極でロゴととぐろを巻いている蛇が印刷されており、色は真っ黒。
そのため、通り名で『ブラック・アルバム』と呼ばれています。ビートルズの『ホワイト・アルバム』を想起させますね。
さておき、これまでのメタリカとは打って変わって「重厚さ」や「グルーヴ」に重きを置いています。
まず@からして違う。強烈なグルーヴ感が押し出され、エモーショナルなジェイムズの歌い方、詩的でダークな歌詞。
続くAも強烈なグルーヴ感が印象深い。@よりも濃厚かつ、重々しいリフは聴く者の耳を掴んで離さない。
CやGといった重厚な歌メロ、叙情的なメロディの曲はメタリカとヴォーカルのジェイムズの変革性が光っています。
確かにザクザクとリフで切り込む疾走感のあるBやFのような曲はあるものの、アルバムの統一感というか、多面性、
緩急をつけるための上等な薬味のような役割を果たしています。
メンバーの役割や存在感も、主張しすぎるわけではなく、バランス良く際立っています。
アルバム一枚の一貫した音の統一性は見事と言わざるを得ない。
完全にスラッシュ・メタルやアンダーグラウンドな装いを捨て、新たな境地に向かうメタリカ。
アルバムを発表する毎に賛否が巻き起こるメタリカですが、このアルバムに関してはこれまで(これから)の比では無かったようです。
音使いを一新させ、全米チャートでは初の一位を獲得し、商業的にも大成功をおさめましたが、
メタリカの原理主義的なファンからは「裏切り」として批判されました。

メタリカの歴史及び、ロックの歴史において非常に重要性のあるアルバムです。
重き音のうねりに身を任せて聴いてほしいと思います。